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シェフソムリエの中村 尚一郎と申します。

先日、広島県竹原市にある竹鶴酒造さんにお伺いしました。
私自身、酒蔵にお伺いするのは小学生の時の社会見学以来でたのしみにしておりました。

今回、見学をお願いしたのは数か月前、こちらのお酒を酒屋さんにお勧めいただき、
初めて飲んだ時に今流行のワインのような日本酒ではなく、本物の辛口の日本酒の味に
衝撃を受け、当店でもお出ししたいと思ったのがキッカケです。

三か月程前にお願いし、ついに待ちわびた日が参りました。

朝からスタッフとレストラン前で待ち合わせをして、車で高速道路を走ること4時間半。
東広島市の手前、竹原市に着きました。

竹鶴酒造のある場所は重要伝統的建造物保存地区になっており、歴史ある景観が残されています。
竹鶴酒造が創業したのも享保18年(1733年)のことです。
タイムスリップしたような、とても歴史を感じる街並みでした。
DSC06561.jpg

竹鶴酒造の前までくると、今話題のドラマのポスターなどがあり観光でも賑わっている雰囲気でした。

DSC06559.jpg

入口と思われる古めかしい引き戸を恐る恐る開けると、
中から代表取締役専務の竹鶴 敏夫氏が出荷作業でお忙しい中、
快く迎えて下さいました。

ご挨拶をしているともうひと方、貫録のある男性が蔵の奥から私共のほうに。
そうです、あの有名な杜氏の石川 達也氏です。

お会いできるとは思ってなかったのでとても感激でした。
石川氏は酒造りのために11月初旬から蔵入りされ、あとは半年程蔵の中で過ごされます。
お忙しい準備の真っ最中にお時間を作って頂きました。

ここからは、石川氏と共に蔵の中を日本酒造りの工程をご説明いただきながら見学です。

まずは、お米を蒸す釜場(かまば)へ
DSC06564.jpg
大きな釜で磨いたお米に水を浸透させて蒸します。
まずはここが基礎。
ここがうまくいかないと、美味しいお酒はできません。
しっかりと蒸せているかどうかの判断は、杜氏の役目だそうです。
蒸し終える頃に熱々のお米を少し手で取りだして、板の上で押し潰してからこねて餅状にして「ひねり餅」というものを作ります。
このひねり餅を食べることによって芯が残っていないかを確認します。



次に麹室(こうじむろ)。
DSC06569.jpg
寒い日でしたが、中の気温は約30度でとても暖かく、汗も出てくるほどです。
蒸し上がったお米はこの部屋に入れられ、麹菌の胞子を蒔いてから麹菌が発芽して目で見えるようになるまで、
高温高湿を保ちながらゆっくりお米を寝かせます。
ここでお米を試食させていただきましたが、食べたことのないほど弾力のあるお米に仕上がってました。


胞子が見えるようになれば、次に麹蓋(こうじぶた)というむかしから使われている木の箱のようなものにいれ、
発酵によるお米の温度の上昇を抑えながら乾燥させます。
DSC06577.jpg
石川氏はこの木箱の代わりになるものがないと言われました。
伝統的な良い部分を残すことも酒造りでは重要なことだそうです。

次に、酵母菌のもとの酒母を造る為に麹と水を合わせ、もとすりをします。
?すり歌と言うものを歌いながら、二人一組で木桶の中を混ぜていきます。
?場


以前は、ストップウォッチで時間を計っていたそうですが今はもとすり歌という約3分の
歌を歌いタイミングを合わせながら丁寧に蒸米と麹を摺りつぶします。

その後、ドラム菅ほどの大きさのタンクに入れられゆっくりと温度を上げながら乳酸菌や酵母を培養していきます。
こうやってゆっくりと時間をかけてできる酵母は旨みを含んで力強いものになるそうです。


タンクの中は、甘そうなお酒の香り。
DSC06588.jpg


お米によっても味わいが違う酒母ができます。
こちらのタンクは、八反という広島のお米を使っておられました。
DSC06590.jpg


お水は酒造りには欠かせないものですが、こちらでは蔵内の井戸(地下126m)から汲み上げた軟水が使われています。
しかしながらクロールと言う成分を含んでいる為、アミノ酸が抽出されやすくお酒の色が濃くなってしまうのですが、
それでも水に対して手を加えず自然のまま造るというのがこちらのスタイルです。
井戸

最後に仕込み場を見せて頂きましたが、大きなタンクが沢山並んでました。
こちらではもろみ仕込みという蒸米、麹、水、酒母を合わせる作業が行われます。
ステンレスタンクだけでなく木桶があるのも、石川氏の酒造りの特徴の一つです。
木桶を使うことによって、酒に木の香りが現れるとかはっきりとしたものはないのですが、
香りや味わいのどこかで暖かみを感じたりロマンを感じたりできるものだと思います。


DSC06593.jpg



石川氏と記念写真を撮らせて頂きました。


石川氏と

この後の工程はもろみを搾り、酒と酒粕に分けられ、酒は貯蔵タンクにて熟成されます。
程よく熟成したものは詰めをされ、出荷されます。




ワイン造りと比べて生もとつくりの工程の多さに驚きました。
そしてその工程一つ一つにタイミングを計る正確さや丁寧さが求められ、決してデータなどに頼らない
杜氏 石川氏の研ぎ澄まされた感覚や感性によって造られるものでした。

ワインみたいな日本酒でもない、フルーティーなものでもない、酒らしい酒を造ることを志され、
竹原市の風土や伝統も考えられた酒造りに感動しました。


今回の訪問で日本酒だけでなく、ワインに対しても見方や捉え方が変わるような意義のあるものでした。
最後に石川さんの言葉で印象に残ったのが、「伝統を守る為には、未来に残すものを意識し未来の酒を
造らないといけない。だから試行錯誤するんです。」と言う言葉でした。

私共にとっても試行錯誤は永遠のテーマです。
料理やサービスそして飲み物の提供方法など日々勉強し、楽しんで頂ける方法を見出そうとしています。

レストランMOTOIでは竹鶴酒造さんのお酒を燗で提供しております。
お酒の温度によっての味わいや香りは面白いほど変化します。
日本酒と様々な料理とのマリアージュもお楽しみいただければと思っております。

 
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